ピロリ菌は、正式な名称をヘリコバクター・ピロリと言います。細菌は高酸の胃の中では生息できないと考えられていたため、その存在が知られてからまだ30年ほどしか経っていません。
はっきりとした感染経路はわかっていませんが、感染している親や家族の唾液を介した経口感染が考えられています。感染は、そのほとんどが5歳以下の小児期に成立します。
胃カメラによる観察で、ピロリ菌感染をおおよそ予測することが可能です。ピロリ菌に感染している胃は、粘膜が薄くなる(萎縮と言います)、ひだが太くなったり蛇行する、粘液が付着する、黄白色調の小隆起(黄色腫)がみられる、などの特徴があります。
一方ピロリ菌に感染していない胃では、集合細静脈という細い血管が規則的に配列し、胃底腺ポリープがみられます(ピロリ菌に感染している胃では、これらの所見がみられないことも特徴です)。一般的にポリープというと腫瘍がイメージされますが、胃底腺ポリープは腫瘍ではなく、いわば善玉ポリープです。
このように私たちは胃カメラでピロリ菌感染の有無をかなり高い確率で予測し、最終的に血液、尿、便、呼気(吐く息)、生検組織(胃カメラの時に採取する胃の組織)のいずれかを使って正確な感染診断をしています。